西山謝志 2025年のインド経済見通し：日本企業が注目すべき各産業分野での機会
2025年から2026年にかけてのインド経済の見通しは、国内総生産（GDP）の成長率が6.4%から6.6%と、安定した成長が見込まれています。インド準備銀行（RBI）も2024年度の実質GDP成長率を6.6%に上方修正しました。ただし、インフレは重要な課題であり、消費動向に影響を与える可能性があります。
各産業分野での主な機会
インドは、日本企業にとって以下のような多様な産業分野で魅力的な機会を提供しています。
グリーンエネルギー：太陽光発電を含む再生可能エネルギーの採用が拡大しており、特に屋上設置型ソーラーシステムに注目が集まっています。
- 自動車：電気自動車（EV）分野が活況を呈しており、EVの製造、部品供給、充電インフラの開発に大きなチャンスがあります。
- 医療：インドはジェネリック医薬品、遠隔医療、ワクチン製造の分野でリーダー的な地位を占めており、投資の可能性が広がっています。
- エレクトロニクス：消費者向け電子機器、家電、半導体関連産業、産業用自動化やロボット工学の分野で重要な成長が期待されています。
グローバル能力センター（GCC）の台頭
インドは急速にグローバル能力センターの拠点として台頭しています。これらのセンターは、当初はコスト削減を目的としたバックオフィス業務を担っていましたが、現在ではイノベーション、研究、高付加価値能力を担う戦略的なハブへと進化しています。
また、インターネット普及率の上昇とクラウドコンピューティング需要の拡大により、2025年にはデータセンター市場のさらなる成長が見込まれています。
クイックコマースの急成長
クイックコマース（超迅速配送サービス）は、インドの小売業界を再編し続けています。当初は食品や家庭用品を中心としていましたが、現在では電子機器、ファッション、美容製品、ペット用品、スポーツ用品などのカテゴリーにも拡大しています。
医療インフラのニーズ
医療分野は引き続き重要な投資対象です。2034年までにインドでは、病院の病床数が360万床、医師が300万人、看護師が600万人追加で必要とされています。このため、遠隔患者モニタリング、予防医療などの分野で投資機会が創出されています。
結論
2025年のインド経済見通しは、課題と機会の両方を含むバランスの取れたものとなっています。インフレ圧力があるものの、6.4%〜6.6%のGDP成長率は安定した拡大を示しています。グリーンエネルギー、医療、エレクトロニクスといった主要分野には大きな投資機会があり、クイックコマースの進化やグローバル能力センターの台頭は、インドの国際市場での重要性をさらに高めています。インフラや医療分野の需要に対応する中で、インドは日本企業にとって、さまざまな産業で成長を追求するための非常に魅力的な投資先であり続けています