世界のサプライチェーンが再編される中、インドは電子機器製造の中核拠点として急浮上しています。特に、2025年にスタートする「ECMS 2025(Electronics Component Manufacturing Scheme)」は、日本やアジアの電子部品メーカーにとって、戦略的な進出・成長のチャンスといえます。本記事では、ECMS 2025の概要や対象分野、企業にとっての具体的なメリットをわかりやすく解説します。
インドのECMS 2025とは?
「ECMS 2025」は、インド政府が電子部品・サブアセンブリ・製造装置の現地生産を促進するために設計した国家レベルのインセンティブ制度です。生産連動型・設備投資連動型の支援を行い、国内製造エコシステムの強化を目指します。
- 開始時期:2025年4月
- 期間:6年間(2025~2031年度)
- 予算:約2,280億~2,300億ルピー
- 対象分野:
- 基本電子部品(受動部品、能動部品)
- サブアセンブリ(モジュール・コネクタ等)
- リチウムイオン電池・モジュール
- 製造装置(SMT、成型・検査装置など)
本制度は、インドの旗艦政策「PLIスキーム」とは独立しており、電子機器バリューチェーンの“上流工程”に特化しているのが特徴です。
なぜ今、日本企業にとって注目なのか?
1. 世界有数の成長市場に参入可能
インドのESDM(エレクトロニクス設計・製造)市場は、スマートフォンやEV、自動化機器の需要増加を背景に、2026年までに最大4,000億ドル規模に成長する見込みです。
2. 自社製品で申請可能な対象分野が多い
日本・アジアの電子部品メーカーが得意とする「高精度部品」「装置」などが幅広く対象に含まれており、新規投資のハードルが比較的低く設定されています。
3. グローバル輸出拠点としてのポテンシャル
インドから第三国への電子部品輸出、グローバルバリューチェーンへの統合を視野に入れた戦略展開が可能です。特に「China+1戦略」を模索する企業にとっては有力な選択肢になります。
想定されるビジネス機会
カテゴリー | 対象製品・設備 | 日本企業の強み |
---|---|---|
基本部品製造 | 抵抗器、コンデンサ、ダイオード等 | 高信頼性・高性能製品の供給 |
サブアセンブリ | ディスプレイモジュール、カメラモジュール等 | 精密加工技術、量産品質管理 |
バッテリーモジュール | EV向けリチウムイオン電池等 | 安全性・エネルギー効率技術 |
製造装置 | SMT実装機、検査装置、成形装置等 | 自動化・高精度制御分野のノウハウ |
申請と導入のポイント
- セグメント別に受付期間が設けられるため、戦略的な準備が可能
- インド現地法人の設立・合弁パートナーとの連携が有利
- インセンティブは「売上高」や「設備投資額」に応じて支給
中長期的な視点での現地生産・輸出拠点化を検討する企業には、リスク分散と成長機会の両立を可能にする制度です。
結論:ECMS 2025は“戦略的招待状”
ECMS 2025は、単なる助成制度ではなく、日本・アジアの技術力を持つ企業に対するインドからの“戦略的招待状”です。電子部品製造の次なるフロンティアとして、インド市場に足を踏み入れる絶好のタイミングが訪れています。
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