インド政府は2024年3月、新たなEV投資促進制度「SPMEPCI(Scheme to Promote Manufacturing of Electric Passenger Cars in India)」を発表しました。世界的なクリーンモビリティ推進の流れを受け、インドもEV生産拠点としての存在感を高めるべく、本制度を通じて国内外の大手自動車メーカーからの直接投資(FDI)を積極的に誘致しようとしています。
このスキームでは、最大5年間の関税優遇措置と輸入枠が用意されており、インド進出を検討するメーカーにとっては大きな追い風となります。本記事では、SPMEPCIの申請条件、主な特典、スケジュール、申請方法をわかりやすく解説します。
インドEV製造促進スキーム「SPMEPCI」とは?
インド重工業省(MHI)が主導するSPMEPCIは、インド国内における電気乗用車(EV)製造を活性化するための戦略的な産業政策です。
目的は次の3点に集約されます。
- 海外からの大規模投資(FDI)を誘致し、インドをEV製造ハブへ
- 国内のEVサプライチェーンを強化し、自立経済(Aatmanirbhar Bharat)を推進
- 雇用創出とクリーンモビリティの普及を加速させる
対象企業と申請資格
申請対象は、国内外を問わず一定以上の規模と信用力を有する自動車メーカーです。主な要件は以下の通りです。
- 売上要件:直近連結売上高1兆ルピー(約1,800億円)以上
- 資産要件:純固定資産3,000億ルピー(約540億円)以上
- 投資要件:3年間で最低4150億ルピー(約750億円)を投資(保証金の提出要)
- 国産付加価値(DVA)要件:
- 3年目までに25%以上
- 5年目までに50%以上
- 財務健全性:倒産手続中・清算中でないこと。誠実性誓約書の提出
- 外国企業:FDI規制を遵守すること
主な特典と優遇内容
SPMEPCIに承認されると、以下のような優遇措置が得られます。
- 関税優遇:
- CIF価格が35,000ドル以上のEV完成車(CBU)は通常より低い15%の関税で5年間輸入可能
- 輸入上限:年間最大8,000台
- 支出対象:
- 設備機械、研究開発費、インフラ(充電設備等)に対し費用の一部が認定対象
- 建物費用は最大10%、インフラは最大5%、土地取得費用は対象外
申請スケジュールと申請方法
- 受付開始:2025年6月24日 午前10:30〜
- 受付締切:2025年10月21日 午後6:00
- 申請ポータル:
https://spmepci.heavyindustries.gov.in
必要書類
- 申請フォーム(オンライン)
- 財務諸表・投資計画書
- DVA達成計画
- 誠実性誓約書
- オンライン提出後、書面でMHI(インド重工業省)へ郵送
審査フロー
- プロジェクト管理機関(PMA)による書類審査
- 約5営業日以内に申請IDと承認レターを発行
- スキーム期間中は銀行保証の維持が必須
承認後の実行義務
- 年次輸入報告書の提出(関税優遇を受けた証明)
- DVA達成状況報告書(第三者エンジニアの認定証明が必要)
- 現地調査や監査が入る可能性あり
SPMEPCIの戦略的意義
この制度は、EV市場の拡大を背景に、インドがグローバルなEV製造拠点として台頭するための基盤と位置づけられています。
- 「Make in India」政策との連動
- EV関連部品の現地生産による輸入依存の軽減
- 中間層のEV需要拡大を視野に入れた供給体制強化
マーケットリサーチ社では、インドEV事業への投資戦略をトータルで支援しています
有限会社マーケットリサーチ社では、インドでのEV投資を検討されている国内外の企業様に向けて、SPMEPCIをはじめとする最新政策への対応を支援しております。
- 投資の実現可能性調査と市場リサーチ
- SPMEPCIの申請支援と必要書類の準備
- インド国内の製造拠点候補地の比較と戦略立案
- 現地提携先(部品メーカー・行政機関)との連携支援
- 銀行保証・税務・法務に関するアドバイザリー
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