インドのヘルスケア・メドテック市場に商機あり|日本企業が注目すべき成長分野と参入戦略

急速な経済成長と人口増加を背景に、インドのヘルスケア市場が大きく進化を遂げています。都市部・農村部を問わず医療アクセスの拡大が課題となるなか、遠隔医療、デジタルヘルス、AI診断などの分野が特に注目を集めています。

この市場は2024年時点で約3,720億ドル規模に達しており、2028年までに7,000億ドルを超えると予測されています。こうした背景のもと、日本企業にとっても技術移転・共同開発・FDIなどを通じた参入機会が広がっています。

この記事では、成長を牽引する注目分野と政府政策、競争環境、参入上のリスク、日本企業にとってのチャンスをわかりやすくまとめます。

インドのヘルスケア市場の現状と成長要因

インドのヘルスケア産業は、人口14億人を抱える巨大市場であり、都市部と農村部の双方に未充足の医療ニーズが存在しています。政府のインフラ整備、テクノロジーの普及、外資誘致政策などを背景に、市場は今後も持続的に拡大すると予想されています。

特に以下の分野が成長の牽引役となっています。

遠隔医療・デジタルヘルス

スマートフォンの普及とインターネット接続環境の改善により、地方部でもオンライン診療やモバイル診断の需要が急増しています。政府のNDHM(国民デジタル健康ミッション)により、全国規模で電子カルテや遠隔医療の導入が進行中です。

医療機器・診断装置

高齢化や生活習慣病の増加により、イメージング機器、ロボット手術支援機器、ウェアラブル端末など、幅広い診断・治療機器へのニーズが高まっています。

予防医療・診断ラボ

感染症や慢性疾患の早期発見に対する関心の高まりを受け、血液検査や遺伝子診断、自動診断機器、AI病理解析などの分野が拡大中です。

AI・パーソナライズド医療

大規模医療データを活用した疾患予測や個別化医療の開発が進み、治療アルゴリズムや創薬支援へのAI導入が加速しています。

現地供給体制と競争環境

医療機器の現地製造は、PLI(生産連動型インセンティブ)スキームにより加速しており、低価格機器を提供する国産メーカーがシェアを拡大しています。スタートアップ企業(Pristyn Care、1mg、HealthPlixなど)も、メドテック・デジタルヘルスの領域で急成長を遂げています。

一方、シーメンス、GEヘルスケア、フィリップスなどのグローバル企業もすでにR&D拠点を構えており、競争は激化しています。

国内大手病院グループ(Apollo Hospitals、Fortis Healthcareなど)は、サービス品質とデジタル導入においてリードしており、今後も影響力を維持する見通しです。

政府の支援政策と制度

インド政府は以下のような多面的な政策でヘルスケア分野への投資を促進しています。

  • NDHM(National Digital Health Mission):電子健康ID、カルテ統合、遠隔医療に関する制度整備
  • PLI制度:高付加価値医療機器や部品の現地生産を支援
  • FDI政策の緩和:医療機器製造や病院運営において最大100%の外資出資を容認

これにより、外資系企業の参入障壁が低下し、日本企業を含むグローバルプレイヤーにとっての進出環境が整備されつつあります。

日本企業にとっての参入機会

インド市場における日本企業の活路は多岐にわたります。以下は特に注目される参入戦略です。

  • 技術移転・合弁事業:現地企業と提携することで価格競争力を確保
  • R&D・共同開発:大学や研究機関との連携によりAI診断や創薬分野での存在感を強化
  • 直接投資(FDI):高価格帯医療機器(ロボット手術、AI画像診断など)への特化
  • 日本式サービスモデルの輸出:リハビリや在宅医療、包括ケアなど日本独自のサービス提供モデルの導入

市場参入における主なリスク

  • 価格競争の激しさ:多くの患者が自己負担で医療費を賄うため、低価格モデルへの対応が不可欠
  • 認可・規制の複雑さ:AI診断や新型医療機器の認可に時間がかかる
  • 地方インフラの未整備:農村部では通信・物流インフラの整備が遅れており、普及には時間を要する可能性がある

今後の展望とまとめ

インド政府は2030年までに全国民が質の高い医療にアクセスできる体制の構築を目指しており、この方針は今後の市場拡大のベースとなります。

2025年までに医療機器市場は約500億ドル、デジタルヘルス市場は160億ドル以上に拡大する見込みであり、日本企業にとっては「スケーラビリティとコスト効率を両立した技術・サービス」を提供することで、中長期的なプレゼンス強化が可能です。

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