インドの新EV政策「SPMEPCI」とは?現地生産を後押しする新制度とグローバルメーカーの動向

インドは急速に成長するEV(電動自動車)市場として、世界中の自動車メーカーから注目を集めています。そんな中、2024年にインド政府が発表した新たな政策が「SPMEPCI(電動乗用車製造促進スキーム)」です。

この政策は、インドを世界的なEV製造拠点として育成することを目的としており、環境対策と産業競争力の強化を両立させる戦略的な取り組みとなっています。

本記事では、SPMEPCIの概要と主要ポイント、グローバルメーカーの反応、今後の市場展望についてわかりやすく解説します。

SPMEPCIとは?インド政府のEV製造支援スキームの概要

SPMEPCI(Scheme for Promotion of Manufacturing of Electric Passenger Cars in India)は、国内外の自動車メーカーに対して、インド国内でのEV生産を促進するためのインセンティブ制度です。

政策の目的は以下の通りです。

  • グローバルEVメーカーのインド誘致
  • 国内サプライチェーンの強化
  • EV普及と持続可能な輸送の実現
  • 国内産業の技術革新と雇用創出

この政策を通じて、インド政府は「Make in India」戦略とグリーン経済の加速を両立しようとしています。

SPMEPCIの主な内容と要件

投資インセンティブの提供

SPMEPCIでは、3年以内に4150クローレ(約5億米ドル)以上の新規投資を行う自動車メーカーに対し、税制優遇や補助金などの特別な優遇措置が適用されます。

この枠組みにより、EVメーカーは資本投入へのハードルが下がり、工場建設や部品開発のスピードアップが期待されます。

国内付加価値(DVA)の義務化

本政策のもう一つの柱は、段階的な現地調達率の義務化です。企業は以下の条件を満たす必要があります。

  • 事業開始から3年以内に25%のDVA(Domestic Value Addition)を達成
  • 5年以内に50%のDVAを達成

これにより、インド国内の部品産業の成長が促進され、輸入依存の軽減と雇用創出につながることが期待されています。

海外メーカーの反応

テスラ(Tesla)

SPMEPCIは当初、テスラのようなグローバルEV企業のインド進出を想定して設計されました。しかし、テスラは現時点では製造拠点の設置を見送り、販売拠点の整備に注力する方針を明らかにしています。

メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなど

一方、ドイツのメルセデス・ベンツフォルクスワーゲンといった他の欧州系大手自動車メーカーは、インドのEV市場に対してポジティブな姿勢を示しています。SPMEPCIによる現地支援の恩恵を活かし、インドでのEV事業拡大に向けた検討を進めています。

今後の市場展望

インドのEV市場は今後も急拡大が見込まれており、政策的後押しと環境意識の高まりを背景に、都市部を中心に需要が増加しています。

  • EV車両の価格低下
  • 充電インフラの整備
  • サプライチェーンの強化
  • 中間層による需要の拡大

これらの要素が重なり合うことで、インドはアジアにおけるEV製造・消費のハブとなる可能性を秘めています。

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  • SPMEPCI適用条件の調査と申請サポート
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