近年、インドでは都市化と冷蔵物流のニーズ拡大を背景に、コールドチェーン倉庫市場が急速に成長しています。
食品加工、医薬品、eコマースなど複数分野の拡大により、効率的で温度管理された流通インフラへの需要が高まり、冷蔵・冷凍設備や関連機器を提供する海外企業にとって大きなビジネスチャンスが到来しています。
この記事では、市場規模や成長要因、政府の支援策、注目される設備機器、そして海外企業にとっての具体的な参入ポイントについて、わかりやすくまとめています。
インドのコールドチェーン市場:急成長する背景とは?
インドのコールドチェーン市場は、2023年時点で約150億米ドルに達しており、今後5年間で年平均成長率(CAGR)14〜16%の勢いで拡大すると見込まれています。2028年には市場規模が300〜350億米ドルに倍増すると予測されています。
この成長を牽引する要因は以下の通りです。
- 生鮮食品、乳製品、食肉などの消費量増加
- クイックコマースやオンライン食料品販売の拡大
- 食品加工業や医薬品業界の成長
- 都市部への人口集中と冷蔵物流ニーズの増加
- 政府による政策支援とインフラ整備の加速
現在のコールドストレージ状況と拡張計画
インド国内には8,000以上のコールドストレージ施設が存在し、総容量は3,700〜4,000万メートルトンに達しています。さらに、政府は500件以上のコールドチェーン関連プロジェクトを承認しており、その多くは官民連携(PPP)モデルのもとで進められています。
特に以下の州では、インフラ整備に積極的な動きが見られます。
- ウッタル・プラデーシュ州
- マハーラーシュトラ州
- 西ベンガル州
これらの地域では、食料供給網の強化と雇用創出を目的に、大規模な冷蔵倉庫や輸送インフラの整備が急ピッチで進行中です。
インド政府によるコールドチェーン支援策
インド政府は、冷蔵物流インフラの発展を後押しするため、以下のような補助金や税制優遇策を導入しています。
- MIDH(園芸総合開発ミッション):設立費用の50〜75%を補助
- PMKSY(農産物流通・加工近代化計画):最大約120万米ドルの支援
- インフラ施設認定:低金利融資や税制面でのメリットを付与
- GST軽減:冷蔵サービスに対する物品・サービス税の減免
- AIF(農業インフラ基金):利子補助付き融資の提供
これらの制度により、冷蔵物流分野への投資ハードルが大きく下がり、海外企業のインド参入も現実的な選択肢となっています。
海外企業にとって注目すべき機器・ソリューション分野
インドの冷蔵倉庫市場の発展に伴い、以下の機器・ソリューションが特に注目されています。
冷却システム
- 省エネルギー型コンプレッサー
- アンモニア冷却システム
- CO₂冷媒ユニット
断熱パネルと保管ラック
- 高品質ポリウレタンフォーム(PUF)パネル
- 耐久性・断熱性に優れたモジュール構造のラックシステム
温度監視およびIoT管理
- 温湿度センサー
- リアルタイム温度管理システム
- IoT連携による監視・アラート通知
冷蔵輸送車
- 乳製品・海産物・医薬品などを多温度帯で運搬できるトラック
- 冷凍・冷蔵の切替えが可能な輸送ソリューション
急速冷凍機・ユニット
- エビ、冷凍果物などの高付加価値輸出品向け設備
- 輸出品質維持に必要な高速冷却技術
これらの分野においては、品質・信頼性の高い製品を提供する日系・欧米企業にとって、インド市場が次の成長機会となる可能性が高まっています。
結論:インドのコールドチェーン市場は今が参入の好機
都市化、食品・医薬品需要の拡大、eコマースの浸透、政策支援など複数の成長要素が重なり、インドのコールドチェーン市場は大きな変革期を迎えています。
今後5年以内に倍増が見込まれる市場規模の中で、冷却設備、保管資材、IoT技術、冷蔵輸送車などの供給分野にチャンスが集中しています。
海外企業がインドのパートナーと連携し、持続的に事業展開を図るには、今このタイミングでの戦略立案・市場調査が重要です。
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