インド市場への参入を検討する日本企業の多くが、「製品力には自信がある」という前提で戦略を組み立てます。しかし実際には、その“自信作”が現地で苦戦するケースも少なくありません。
この記事では、なぜ優れた製品でもインド市場では売れないのか、その理由と対策について解説します。技術力や品質に自信があっても成果につながらない背景には、「価格・仕様・価値」の設計思想があります。インド市場特有の構造を理解し、売れる状態をつくるための具体策を整理します。
なぜ優れた製品でもインドでは売れないのか
「品質には自信がある」
「日本では高い評価を得ている」
「競合よりも技術的に優れている」
それにもかかわらず、インド市場では思うように売れない――このようなケースは決して珍しくありません。
その理由は明確です。
“優れた製品”と“売れる製品”は必ずしも一致しないからです。
インド市場では、製品そのものの完成度よりも、価格・仕様・価値の設計が成否を分けます。これは でも指摘されている重要な論点です。
価格の問題:高いのではなく「価格帯が合っていない」
多くの企業は「インドは価格に厳しい市場」と理解しています。しかし問題は単なる価格水準ではありません。
重要なのは、どの価格帯でどの顧客層を狙うのかが明確かどうかです。
インド市場には大きく分けて以下の価格セグメントが存在します。
- ローカル低価格帯
- 準プレミアム帯
- 外資系プレミアム帯
曖昧なポジショニングのまま参入すると、「高いのにブランド力が弱い」という中途半端な位置に置かれてしまいます。
価格はコストの積み上げではなく、市場内での立ち位置の設計です。価格戦略を誤ると、製品の優位性は十分に評価されません。
仕様の問題:オーバースペックという落とし穴
日本製品は高品質・高機能であることが強みです。しかしインド市場では、その強みが必ずしも競争力につながるとは限りません。
インドの顧客は、
- “十分に使える”水準を求める
- 耐久性より初期投資を重視する場合がある
- 細かな仕様より価格と可用性を優先する
結果として、本来の強みが価格上昇要因となり、競争力を下げてしまうケースがあります。
重要なのは品質を落とすことではありません。“必要十分”への再設計です。
- どの機能が本当に評価されるのか
- どこまで削減可能か
- 現地の使用環境に最適化されているか
仕様はグローバル標準ではなく、市場適合性で決まります。
価値の問題:伝わらなければ存在しないのと同じ
インド市場では、技術的優位性がそのまま顧客価値として理解されるとは限りません。特にB2B市場では、以下のような特徴があります。
- 購買決定者と技術評価者が異なる
- コスト削減効果が明確でなければ採用されにくい
- ブランドより営業関係性が重視される
つまり、「優れているか」よりも「価値が理解されているか」が重要です。
インドでは、
- ROIで説明する
- 現地事例で示す
- コスト削減・生産性向上を数値化する
といった“価値翻訳”が不可欠です。技術説明だけではなく、経済合理性で語ることが求められます。
成功企業が行っている3つの再設計
インド市場で成果を上げている企業は、単に製品を持ち込むのではなく、戦略的な再設計を行っています。
① 価格の再設計
- 部品の現地化
- モジュール化によるコスト最適化
- 複数グレード展開による価格帯の拡張
② 仕様の再設計
- 機能の絞り込み
- 現地環境(温度・電圧・使用頻度など)への適応
③ 価値の再設計
- メンテナンスコスト削減の訴求
- ダウンタイム削減の数値提示
- 現地顧客の声の活用
成功の鍵は、品質を下げることではなく、市場に合わせて価値を再構築することです。
インド市場は「妥協の市場」ではない
インド市場は決して低品質志向ではありません。
- 価格に敏感
- 実利を重視
- 投資回収に合理的
という極めて合理的な市場です。
優れた製品は歓迎されます。ただし、それが価格・仕様・価値として整合している場合に限られます。
まとめ:売れる状態は「再設計」から始まる
インド市場で売れない理由は、製品が劣っているからではありません。多くの場合、設計思想が市場と噛み合っていないだけです。
- 価格を再設計する
- 仕様を再設計する
- 価値を再設計する
この3つを行うことで、初めて製品は“売れる状態”になります。
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