世界的に保護主義の動きが強まる中、各国・各地域はサプライチェーンの再構築や貿易相手国の多角化を急速に進めています。特に、人口規模と成長力を併せ持つ新興国と、成熟した巨大市場を有する先進地域との連携は、今後の国際経済を左右する重要なテーマとなっています。
こうした流れの中で、インドと欧州連合が長年にわたり交渉を続けてきた経済連携協定(EPA)が、ついに妥結に至りました。本合意は単なる貿易協定にとどまらず、両者の経済関係を次の段階へ引き上げる転換点として注目を集めています。
この記事では、インドとEUの間で妥結した経済連携協定(EPA)について、その概要と企業活動への影響を解説します。
インド・EU経済連携協定(EPA)妥結の概要
2026年1月27日、インドとEUは、約20年にわたり断続的に続けられてきた交渉の末、経済連携協定(EPA)の妥結に正式合意しました。
本協定は、世界でも最も長期化した通商交渉の一つに終止符を打つものであり、両者の経済関係を根本から再定義する歴史的な合意といえます。
直近の2024~25年度におけるインド・EU間の物品貿易額は約1,360億米ドル規模に達しており、EUはインドにとって最大の貿易相手地域となっています。こうした背景から、今回のEPA妥結がもたらす経済的インパクトは非常に大きいと考えられます。
従来のFTAを超える包括的な協定内容
今回のEPAは、単なる関税引き下げにとどまらない点が大きな特徴です。
物品・サービス貿易に加え、投資保護、デジタル貿易、知的財産権、持続可能な開発、規制協力など、幅広い分野を網羅しています。
両地域間で取引される大半の品目について、関税撤廃または大幅な引き下げが見込まれており、市場アクセスの改善と事業環境の予見可能性が大きく向上することが期待されます。
インド企業・EU企業それぞれへのメリット
インド側にとっては、繊維、化学品、宝飾品、エンジニアリング製品などの分野でEU市場への輸出拡大が期待されます。
一方でEU企業にとっても、機械、医薬品、自動車部品、先端技術分野を中心に、高成長を続けるインド市場への参入機会が一段と広がることになります。
この協定は、双方の企業にとってサプライチェーンの再構築や投資戦略の見直しを後押しする重要な枠組みとなるでしょう。
地政学リスクと戦略的パートナーシップの強化
地政学リスクの高まりや世界的なサプライチェーン再編が進む中、今回のEPAは、インドとEUが貿易相手国の多角化と長期的な戦略的パートナーシップを重視している姿勢を明確に示しています。
今後は欧州議会およびEU加盟国による最終批准を経て発効する見通しですが、本合意はインド・EU経済協力の新章の幕開けとして位置付けられるでしょう。
企業が今後検討すべきポイント
企業にとっては、本EPAを前提とした市場戦略や投資戦略の再検討が不可欠です。
関税面の優遇だけでなく、規制やデジタル分野でのルール整備を踏まえ、自社ビジネスにどのような機会とリスクが生じるのかを早期に整理することが、将来的な競争優位を左右します。
インド・EU間の経済連携を自社の成長戦略にどう活かすべきか、より具体的な検討や実務対応が必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
