インドの秋の祭事商戦、過去最大の売上高を記録

インドの全国商人連盟(CAIT)は、今年の秋から冬にかけての祭事商戦(主に Diwali を中心とする祝祭シーズン)における総売上高が、約 5兆4,000億ルピー(日本円で約9兆3,400億円) に達したと発表しました。

この数字は前年と比べておおよそ 25%の増加 を示しており、インド国内の小売・流通市場において記録的な成長となりました。

成長を支えた主な要因

税制改革(GST=物品・サービス税)の見直しにより、靴・衣料品・家庭装飾品・耐久消費財などの日用品・消費財の税率が引き下げられ、消費者の購買意欲を押し上げました。

「国産品を買おう(Swadeshi)」という運動や、自国製品志向の高まりが、消費行動に大きな影響を及ぼしました。CAITの調査によれば、消費者の約87%が輸入品よりもインド製品を選んだとされています。

オフライン(実店舗)販売の復活が顕著で、62%以上のトレーダーがオフライン販売増を報告。特に中都市・準都市部での購買も寄与しました。

意義と今後の期待

この売上記録は、インドの小売・中小企業セクター(農業以外の非法人部門)にとって大きな追い風となりました。CAITは今回の祭事商戦を、経済活動の「灯火」がともる一端と捉えています。

また、物流、包装、装飾、サービス産業といった周辺産業にも数十万人規模の臨時雇用が創出されたと報じられています。

一方で、CAITはこの好調が今後の「結婚シーズン」「冬商戦」「新年祭事」へも継続していくと予想しており、さらに流通・物流のインフラ整備やデジタル化、小規模事業者への金融支援が鍵になると指摘しています。

まとめ

今年のインドにおける祭事商戦は、過去最大規模の売上高を達成し、消費者心理、国産志向、税制改革が相まって成長の好循環を生み出しました。小売・サービス・製造の各分野に波及効果が及び、インド国内経済のモメンタムを象徴する一幕と言えるでしょう。

当サイトでは、こうしたインド市場の動向を引き続き更新していきます。今後の展開にもぜひご注目ください。

この記事を書いた人

西山謝志

西山謝志

有限会社マーケット・リサーチ社 代表/インド市場調査コンサルタント
元エクソン社および伊モンテディソン社にて東南アジア地域統括を歴任後、証券会社での産業アナリスト職を経て、1997年にマーケット・リサーチ社を設立。インド市場に特化した調査・進出支援の第一人者として、20年以上にわたり100社以上の日本企業の現地進出をサポートしてきた実績を持つ。特に、自動車、エネルギー、食品、医療、機械、ITなど幅広い業種において、市場調査・販路構築・提携交渉などの実務支援を行っている。