インド政府は、電子部品の国内製造促進を目的として、次々と大型のインセンティブスキームを打ち出しています。その代表格が「PLI制度」と、2025年に本格始動する「ECMS 2025」です。両制度は似て非なる構造を持ち、日本企業の投資戦略や事業形態に応じた適切な活用が求められます。
本記事では、各制度の特徴、対象分野、インセンティブ内容、適した企業像などを徹底比較し、どちらを選ぶべきかの判断材料を提供します。
インドの電子部品製造に対する大型支援策とは
インド政府は電子部品の内製化を加速させるべく、「PLI(生産連動型インセンティブ)制度」と「ECMS(電子部品製造スキーム)2025」という2つの主要支援制度を導入しています。2025年からは、より広範な分野をカバーするECMSが始動し、日本を含む海外企業にとって魅力的な事業機会となっています。
PLI制度の概要(電子部品分野)
- 目的:電子部品・サブアセンブリの国産化推進とバリューチェーン構築
- 対象:PCB、SMD部品、リチウムイオン電池、コンデンサ、コネクタ、製造装置など
- インセンティブ:売上増加や設備投資に応じた補助金(最大で投資額の50%)
- 特徴:高品質・現地化・設計要件の達成が求められる
ECMS 2025の特徴と違い
- 対象範囲:ディスプレイモジュール、カメラモジュール、ベア部品、HDI基板、製造装置、素材など広範な領域
- 補助内容:部品や投資規模に応じて、売上高の最大8%、設備投資額の25%など細分化された補助率
- 追加インセンティブ:雇用創出やイノベーションに応じた加算
- 期間:6年間+1年の準備期間、2025年5月から申請開始
PLIとECMSの比較表(抜粋)
項目 | PLI制度 | ECMS2025 |
---|---|---|
対象分野 | 特定電子部品 | 部品・サブアセンブリ・装置など広範囲 |
補助構造 | 売上連動・投資連動・ハイブリッド | 同左+部品別の補助率設定 |
適した企業 | 高度な設計力と現地化対応力を持つ企業 | 幅広い製造や装置分野への展開企業 |
特徴 | 品質・現地調達比率の厳格管理 | サプライチェーン構築や装置メーカーとの連携重視 |
柔軟性 | 短期間で実施・高基準要件 | 長期スパン・段階的支援・申請期間に余裕あり |
外資系企業にとっての最適戦略は?
どちらの制度が適しているかは、企業の投資対象、製品ライン、品質水準、サプライチェーン構築の意向などによって異なります。
- 設計力・高付加価値部品で勝負したい企業 → PLIが有利
- 装置投資やエコシステムの構築を目指す企業 → ECMSが適応
- 申請時期や柔軟性を重視する企業 → ECMSは申請期間も長く、戦略的計画が可能
最も望ましいのは、両制度の併用によって部品製造と装置投資を組み合わせ、補助金を最大限活用するハイブリッドな展開です。
まとめ
インドの電子部品分野においては、政府の支援策が加速度的に進化しています。PLIとECMS2025の制度理解を深め、自社に適した制度を見極めることが、将来の競争力確保に直結します。インド市場に進出または拡大を検討している企業は、今まさに具体的な戦略立案を始める好機です。
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